はじめに/津田大介
「情報の呼吸法」—— 何とも大それたタイトルの本ですが、本書のテーマを一言で表現すれば、デジタルやネットワーク技術が発達し、かつてないほど大量の情報に溢あふれかえって いるこの日本において「情報」を活いかして何か物事を実現するには、情報のインプット(入力)とアウトプット(出力)のバランスを取ることが重要だ、とい うことになります。
2011年3月11日に起きた東日本大震災では、既存のマスメディアと、ソーシャルメディアがそれぞれの得意な分野で連携を果たし、今後メディアが 向かうべき方向性や役割が示されました。社会で新しく起きるムーブメントの種に「情報」が関与する割合は日増しに大きくなっています。そんな中、企業であ るマスメディアが発信した情報より、個人から発信される情報のほうが大きな影響力を持つという現象も頻繁に見られるようになってきました。個人から発信さ れた情報が大きなムーブメントになるきっかけを作り、人々が新たな連帯をし始めている。今やインターネットはかつてのバーチャル空間ではなく、「現実」そ のものの一部として、人々をつなぐ新しいコミュニケーションインフラになっているのです。
コミュニケーション革命が起きている中、どのように情報を入手し、入手した情報を「行動するために」どう活用していけばいいのか。本書は「情報を行 動に移す」ということに主眼を置き、自分が今まで経験してきたことを中心に解説しています。自分で言うのも何ですが、ビジネス書にありがちな情報整理術で もなく、自己啓発でもなく、ネットコミュニケーション論でもない、何ともつかみどころのない不思議な本に仕上がったと思っています。
状況の変化を恐れず、多くの人と情報を軸につながり、それを活かすことで目の前にある苦しい現状を変えていく。呼吸するようにさまざまな情報を自ら の武器として活用できる—— そんな人が日本に増えることで、ネットとリアルが本当の意味で融合し、情報による復興を成し遂げることができるのだと思います。本書がそうした「情報新人 類」を増やす一助になれば、筆者としてこれ以上の幸いはありません。